★共通質問
1:DNAfragmentationを有する精子を簡単に排除(もしくはDNAfragmentationが少ない精子を選別)できるようになれば臨床成績は大幅に改善されると思われますか。
細菌感染症例(内毒素濃度が高値の精液)においては,TUNEL陽性精子率が有意に高い結果となっています.この細菌感染症例では,ICSIおよびconventional IVFによる受精率,胚発生率に差はありませんが,移植後の流産率が有意に高くなります.したがって,TUNEL陰性の精子を選別できれば,臨床成績の向上が期待できます.
2:遠心処理とか、体外での精子の取り扱い方法によって断片化など、精子の染色体にダメージが生じることがあるのでしょうか。
遠心操作(適切なxgであれば)で精子のDNAのフラグメンテーションが起こるとは考えません.しかし,精子は非常に環境への感受性が高く,その変化をストレスと感じて,アポトーシスをスタートさせるようです.したがって,精子の取り扱い方は,危険因子であると考えます.長時間の精液の保管時(患者さんが家から持ってくる場合など)には,精液の検査時と大きく性状が異なる場合に,その輸送過程を検討してみると良いのではないでしょうか.
3:染色とかしなくて、DNAの断片化を起こしていない精子を選別する方法はあるのでしょうか。
私には,そのような方法はわかりませんが,アネキシンで細胞膜を染色した精子をセルソーターで分離すれば,片化化が起こっている可能性が低い精子を選別できるのではないでしょうか.
◆島田先生宛に届いた質問
1:自宅で採精して頂く患者様が精液症状を低下させることなく病院まで運搬するために工夫できることはありませんか?(温度、時間など)
精子密度は,成るべく濃くしておく必要があります.また,少しでも細菌の混雑がある場合,輸送中に精子が直接的にダメージを受けます.そのような症例では(細菌検査陽性,内毒が検出される),来院しての採精にすべきかと思います.そして,パーコールにより細菌と内毒素から,なるべく早く精子を分離することです.
温度は,25℃程度がよいと思います.また,抗生物質と内毒素の中和剤,代謝抑制剤を添加した輸送液を用いると,かなりの長時間,室温で安定した状態で運べます.
2:すぐにでも取り組めるような精子へのダメージ最小限に止める精液調整、凍結融解時の注意点はありますか。
精液調整に用いる溶液や凍結過程に用いる溶液,融解溶液,それぞれにおいて,すぐに精子を運動させたいのか(精子の運動性を検査する,直ちに運動性良好精子を選別し,ICSIにもちいる,swim upするなど),あるいは,人工授精に使うのか,で処理を考えるべきだと思います.動くと言うことは,盛んにATPを作ると言うことで,その場合には酸化ストレスが上昇します.結果,長期間超活性化状態を維持することはできません. 全て,受精培地でよいのか?そこに何が入っているのかを検討してみてはどうでしょうか?
★共通質問
1:胚培養士として患者様と話をすることは必須の仕事だと思われますか。
コミニュケーションをすることは悪くはないと思いますが、必要なことではないと思います。その時には、医療を提供するサイドから患者様と話をするのですから、今受けている治療全般をある程度理解した上で望む心構えが必要と思います。
2:現在、2つの学会でそれぞれ胚培養士の認定資格を出していますが、今後ひとつに統一する可能性はあるのでしょうか。
それぞれの学会が、異なる背景で、異なる基準で認定を行っていますので、融合には障壁があるように感じますが、可能性を求めて欲しいと思っています。
3:国家資格とまではいかなくても、資格がひとつに統一するメリットは多いように感じますが先生方はどのようにお考えでしょうか。
◆柳田先生宛に届いた質問
1:医師が培養業務についてどの程度関わるべきだとお考えですか。
医師としての勤務中には、「胚培養業務」を兼業することは望ましくないと思います。どちらかの業務をおろそかにする可能性があるからです。業務内容などについてのディスカッションには大いに関わるべきと思います。
2:現在、培養士の多くは農学や畜産学など医療系でない分野の出身者が占めていますが、これらの培養士が医療に携わる上で不足しがちなものはありますか。
ないと思います。医療系分野の方、そうでない分野の方でも両者とも同じように就業していただけると思っています。
★共通質問
1:胚培養士として患者様と話をすることは必須の仕事だと思われますか。
必須だとは思いませんが、有用だとは思います。
2:現在、2つの学会でそれぞれ胚培養士の認定資格を出していますが、今後ひとつに統一する可能性はあるのでしょうか。
はっきりとは分かりませんが、個人的には統一して欲しいと思います。
3:国家資格とまではいかなくても、資格がひとつに統一するメリットは多いように感じますが先生方はどのようにお考えでしょうか。
賛同します。
◆渡邉先生宛に届いた質問
1:培養シャーレ内には最大何個の胚をいれていますか?また、3患者で最大何枚のシャーレをインキュベータ内に入れていますか。
培養液の検討などでおひとりの患者さんで2枚のシャーレを使用する事がありますので、最大で6枚です。
2:ソフト面からアプローチできることはありませんか。
たくさんあると思います。発表でも述べましたが、ハード面はコストなどラボ(エンブリオロジスト)だけではなかなか解決できない部分も多々ありますが、ソフト面、特に培養システムなどはラボ(エンブリオロジスト)だけでも十分可能です。皆さんで考えて、より良い培養環境を作っていきましょう。
3:培養庫の開閉回数を最小限に止めるには無加湿型インキュベータのように個別で培養できるものが適していると思いますが、今回の移転に伴い検討されましたか。
検討しました。ですが、当時は出回ったばかりの時期で不安もあり断念しました。今後は前向きに検討したいと思っています。
◆平林先生宛に届いた質問
1:今まで対応された患者様で、特に困ってしまった質問や、場面などはありましたか。
培養結果が悪かった方や、採卵で卵子が得られなかったり凍結胚が得られず治療がキャンセルになる方への説明では、結果を正確に伝えなくてはいけないのですが、どう声をかけていいのかいつも悩んでしまいます。
同じ内容の説明でも、患者様によって全く受け取り方がちがうので、治療歴や背景、対応中の表情から説明方法や話し方に工夫が必要だと感じます。
2:これから患者さんと話をしていきたいと考えている培養士に何かアドバイスはありますか。
患者様と接する時間が増えるほど、培養内容以外の質問・相談も増えてくると思います。他部署の仕事内容やクリニックの方針なども理解しておくことも必要だと思います。看護師からの事前情報のおかげで、説明や確認事項がスムーズにいくことがよくあります。
3:エンブリオロジストが患者様と関わる事は素晴らしいと思います。患者様との関わりの中で他のコメディカルが関わる事で生じうる情報提供内容の矛盾など生じませんか?あれば、回避策として何か工夫はされていますか。
部署ごとで話す内容が違っていると、患者様に混乱や不信感を抱かせてしまうことになるので、全てのスタッフが統一した対応ができるようにすることは大切だと思います。
患者様から質問を受け、対応した内容は必ずカルテに残すことを統一しています。当クリニックでは週一回スタッフ全員でカンファレンスを行い、他部署との意見交換の場を設けています。培養士も受付業務や外来業務を理解し、受付や看護師も培養業務の流れや内容を知ることで普段の診療でもスムーズにいくこともあります。
★共通質問
1:胚培養士として患者様と話をすることは必須の仕事だと思われますか。
私見として、必須とは思いませんが、患者様の気持ちや不安など知ることは、患者様からは見えない所で仕事をしている我々にとって大切なことであると考えます。また、精子、卵子、胚の状態、培養、凍結、ICSIなど方法や状態をプロである我々が説明する事で安心を得る患者様もおられます。
2:現在、2つの学会でそれぞれ胚培養士の認定資格を出していますが、今後ひとつに統一する可能性はあるのでしょうか。
私見として、あくまで学会の認定資格ですので可能ではないと思います。しかし、資格を認定している学会が統一されるなら可能でしょう。
3:国家資格とまではいかなくても、資格がひとつに統一するメリット
私見として、国家資格でないと統一するメリットはあまり感じられません。
◆内山先生宛に届いた質問
1:ラボでエンブリオロジスト別にイクシの成績を定期的に公開されていますか。悪かったときなど、当事者をどうフォローされていますか。院内の教育システムなどありますか。
全ての技師が個々の成績について知ることが出来ます。また全体の成績も同様に知ることが出来、個々で把握するようにしています。
悪かった原因は何かを良く調べ何らかの系統的な要因があればフォローしなければなりません。また、患者以外の偶発的な要因についても同様です。
教育システムは技術を1つ1つ習得して行く方法を取っています。習得したかの判断は個々の操作、結果の再現性を確認し行っています。
2:今まで経験された中で各臨床成績が低下した際の原因となったものはどういったものがありましたか。
学会で報告した他に、培養液のLotで胚盤胞の発生率に差がありました。
培養環境が悪いと発生率が低下する傾向などがありました。
仮説に対する検証中に何時の間にか成績が基に戻る原因不明例もあります。
3:症例数が少ない施設ではなかなかデータからQCを行うのは難しいと思いますが、なにかアドバイスはありますか。
症例数が少なくても可能な限り数値化、図表化し時系列に推移を観察する事が大切です。データ数が少なければ日間、週間、月間のように期間で区切りデータ処理するのは難しいかも知れません。統計的にもある程度のn数が無ければ判定が難しくなります。そこで20ないし30個と定数を決め、定数毎に数値化し推移を見て行く方法はどうでしょうか。また、基準を作れないときは他施設のデータを参考に比較する事も可能かと思います。QCは現状を把握し改善する事を目的としています。症例数が少なくても出来る事はあります。